中国の年金制度

中国の公的年金制度は、本人の戸籍(都市戸籍/農村戸籍)や、就業の有無によって、大きく2つに分類される。 会社員(自営業者を含む)など被用者は「都市職工基本養老保険」(都市職工年金)に加入し、農村住民や都市の非就労者は「都市農村住民基本養老保険」(都市・農村住民年金)に加入する。公務員や外郭団体の職員は、都市職工年金の一部に分類された「公務員養老保険」(公務員年金)に加入する。 会社員、公務員などは、加入が義務付けられているが、農村住民・都市の非就労者は任意加入となっている。このような任意の加入者数は、公的年金制度の加入者全体のおよそ6割に達する。 なお、制度の構造は共通しているが、財政の管理は、地域毎(主に「市」単位)、制度毎となっている。 保険料負担は、賃金に比例する仕組みになっている。保険料は原則的に、企業が賃金総額の20%、従業員本人は賃金の8%を納める。企業拠出分は基本年金の原資として基本年金基金で管理され、従業員が拠出した保険料は基本年金の上乗せとして、専用の個人口座で積み立てられる。 年金制度のモデル設計は、主務官庁である人力資源・社会保障部が行うが、保険料の徴収、基本年金基金の管理、年金給付といった実質的な制度の運営や財政の管理は各地域に設置された社会保険管理機構が行う。よって、保険料は国から示されるものの、各地域で、高齢化の進展度合いや財政状況に応じて、企業の負担率を調整することもある。 基本年金は、加入地域の前年の平均賃金をベースに、現役時代の本人の平均賃金と加入期間を加味して決定される。 個人勘定は、年金専用の個人口座の残高を定年退職年齢に基づいて定められた年金現価率によって分割して支給される。